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保健師の役割の変遷:連盟ふくい座談会:福井県看護連盟


連盟ふくい座談会:保健師の役割の変遷福井県看護連盟座談会 保健師の役割の変遷


新生児・妊産婦の死亡率低下に向けて、母子保健の充実に努めた時代。

司会

赤痢への対応、結核への対応など、大変なことばかりですが、他にはどのようなお仕事がありましたか?

惣宇利
離乳食も含めた栄養教室

他には母子保健の業務がありました。

先ほどの永田さんのお話にもありましたように、福井県は乳児死亡や妊産婦死亡、新生児死亡が全国の中でも非常に高く、私たちが担当していた美山地区でも月1回子供さんを集めて育児相談を開始し、赤ちゃんの育て方や日光浴の仕方、体操の仕方、離乳食の仕方などを指導していました。

その頃は未熟児養育医療制度というものがあり、未熟児の届出が出ると私たちが訪問するんです。訪問して、それこそ虫の息みたいな赤ちゃんを見た時には助産師さんに相談して、お母さんの了解を得て病院に入院させたこともありました。

別の未熟児訪問を行った時には、こたつの中に赤ちゃんが一人ぽつんと寝かされていて、「これは大変!」と思ってお母さんに指導したんです。でも1週間ほど後にその子が亡くなったと聞きまして、ショックを受けました。
「変なことを教えたのか?」とか「その後をきちんと確認しなかったのが悪かったのか?」という思いが今でも残っています。

永田
保健師として家庭訪問に出かけるところ。(昭和27年)

昭和30年から40年は北陸トンネルを掘っていた時期で、その従業員の皆さんが家族を連れて板取という地区の小屋を改良して住んでいました。赤ちゃんや学童も増えて、私たちも板取地区に力をいれていました。

でもこの地区は保健所や役場から遠かったので、毎月の育児相談も大変でしたね。体重計や身長計を担ぐ人がいなければいけないし、栄養補給のミルクを担ぐ人や私たちの弁当を担ぐ人もいました。

そして現地で赤ちゃんを一人ひとり検診し、問題がある場合は早期の段階でお医者さんに診てもらったりして。いろいろな苦労があった13年間でしたね。

惣宇利
県では、障害の早期発見、早期治療に重点をおいた乳幼児検診が実施され、また市町村でも乳幼児検診が実施されるようになった。

本当に、あの頃は妊産婦死亡や乳児死亡、新生児死亡が全国より高いという状況を何とかするために、昭和45年頃、県で「健康な赤ちゃんづくり政策」というものを打ち出しました。
赤ちゃんの実態調査などを行った結果、妊産婦が検診を受けないために子供の死亡も増えるということがわかり、県では妊産婦の無料検診や赤ちゃんの乳児検診を一回でも多く受けられるような制度にしたり、母子推進員の方々に一生懸命活動していただいたりしたんです。

10年後には妊産婦死亡と新生児や乳児の死亡も全国1位くらいに少なくなったんですよ。やはりいろいろな施策を制定したり訪問指導を行ったりすることで効果があったんですね。
それに、保健師だけではなく母子推進員さんや助産師さんなどが地域の中で懸命に活動してきたことも一因だと思います。

司会

なるほど、いろいろな方の活躍もあって母子保健が改善されてきたんですね。
ではここで、保健師の資格を持って病院で病棟勤務されている南出さんのお話をお聞きしたいと思います。

南出
南出弘美さん
総合病院に勤務し主に外科系の病棟の経験6年になる。
「患者さんが気持ちよく入院生活を送ることができるように」「者さんの苦痛を取り除くためには何をすれば良いか」を念頭に置いて看護にあたっている。

はい、私は福井の看護専門学校を卒業後、石川県の看護大学に編入して保健師の資格と大学卒業の資格を取りました。

現在は病院の外科と泌尿器科の混合病棟で働かせていただいています。病院では、検診センターに検診に来られた方に対しての保健指導や、禁煙外来、生活習慣病外来の患者さんに対して個別で保健指導をさせていただいています。

司会

病院には保健師さんの他に看護師という方もいらっしゃると思いますが、その点ではいかがですか?

南出

そうですね、看護師さんと一緒に働いていていると「保健師と看護師の差って何だろう」と考えることがあります。

私自身は、やはり患者さんの背景、つまり、生活環境や地域・家族の中でのその方の役割なども考慮して保健指導する力が、保健師には必要なんじゃないかなと考えています。また病棟で患者さんに対して指導させていただく時も、保健師だからこそ指導メインで何かできることがあるんじゃないだろうか、ということを常に考えますね。

それに、病院は病院、地域は地域と、別のものとして考えるのではなく、病院内で働く保健師も、地域、行政の保健師さんと連携して、一貫して患者さんや地域の方々を看ていける体制づくりも必要なのではないか、と日頃仕事をしていて感じます。

司会

確かに、保健師が一体となって患者さんをサポートしていくということが大事ですね。

保健師という存在は、最初は惣宇利さんと永田さんがお話してくださった母子保健や結核への対応などのウェイトが大きく、そこから出発して次第に成果が認められ、現在は南出さんのお話にありましたような役割も求められるまでに発展してきたのではないか、と思います。
南出さんは経験してない時代のことですが、お2人の話を聞かれていかがですか?

南出

はい、お話を伺っていると、その時問題となっていることに対して保健師さんが介入を行うことで効果が得られている、成果がしっかり出ているという点、それに地域の方々がより健康に暮らしていけるように関わりを持っていけるという点が保健師としてやりがいが出るところなんだなと思いました。
今の時代では分からないご苦労もいろいろあったんだなということも知りました。

司会

そうですね。保健師の歴史の中には、一生懸命活動することによって問題点が改善され、ノウハウも身についてきたという流れがあることが分かりますね。